富とジェリー

映画・海外ドラマ・海外アニメの紹介と感想、独自の角度から切り込んだ考察を載せていきます。

闇のサザン★本当は暗い桑田佳祐

サザンオールスターズにどのようなイメージをお持ちでしょうか。

ライト層のファンは、「夏」「海」「恋」といった単語が頭をよぎるのではないでしょうか。

しかし、オリジナルアルバムを複数所持しているようなファンであれば、それらはサザンを構成する要素の一部に過ぎないということをご存知のはずです。

今回は知られざる「闇のサザン」を味わえる曲たちを、多くの中から選び、オススメ順にランキングにしてみました。

 

f:id:penguinoutrage:20170206194944p:plain

続きを読む

傑作だが前半は人を選ぶ 『ローグ・ワン』感想

ローグ・ワンスター・ウォーズ・ストーリー』は、実写としては(『イウォーク・アドベンチャー』以外』)初となる『スター・ウォーズ』のスピンオフ作品です。

エピソード4『新たなる希望』の冒頭で語られた、帝国軍と反乱軍によるデス・スターの設計図争奪戦が描かれ、そのままエピソード4へと繋がります。

つまり、実質的な「エピソード3.9」です。

 

f:id:penguinoutrage:20170129140930p:plain

 

※ここから先は『ローグ・ワン』及び『スター・ウォーズ』関連作品のネタバレをほんの少し含みます。

 

1.前半69点、後半120点

実は公開前は結構不安がありました。

スター・ウォーズなのに普通の戦争映画に仕上げた」という大バクチと「ディズニーが脚本の書き直しを要求したらしい」という噂から考えて、微妙なデキになっている可能性も十分あったからです。

ところが、実際に見てみると面白い。

前半は及第点だし、後半は最高傑作級の完成度です。

まずは前半について述べていきましょう。

冒頭は、お馴染みのメインテーマが流れず、タイトルロゴも『ローグ・ワン』専用のもので、あらすじのスクロールも流れないという「お約束はずし」のオンパレードと共に幕を開けます。

しかし、ここで一番注目すべきなのは、主人公ジン・アーソの「過去」がいきなり直接語られるというところです。

この映画で我々が最初に目にするのは、帝国軍によって母を殺され、父をさらわれてしまう、少女時代のジンの悲惨なトラウマです。

実はこれは今までにない、シリーズにおいてかなり異質なアプローチです。

これまでの『スター・ウォーズ』は、一貫して「実録もの」によせた体裁がとられてきました。

すなわち、「英雄」アナキン・スカイウォーカールーク・スカイウォーカーを基点に置きながらも、あくまで時代の「公的なターニング・ポイント」を中心に据えることが「記録」のルールだったのです。

その点、『ローグ・ワン』の冒頭で描かれる「過去」は、シリーズが避けてきた「回想シーン」とは厳密には異なるにしても、明らかに「私的なドラマ」の視点でジンを紹介するものとなっています。

それを開幕と同時に持ってくることにより、『ローグ・ワン』は『スター・ウォーズ』と「同じ世界」ではあるが「同じ文脈」で語られるわけではないということが暗に示されているわけです。

なので、その後の物語を追うにあたっても、ジン以外の登場人物を観察するにあたっても、既存の『スター・ウォーズ』のノリをいったん忘れ、「『ローグ・ワン』の文脈」にチューニングを合わせて視聴する必要がでてきます。

それがスっとできるかどうかで、前半の印象はガラっと変わります。

正直いうと、僕はあまり上手くできませんでした。

前半のストーリーは、帝国軍の下で超兵器「デス・スター」を設計させられたゲイレン・アーソを、娘のジン・アーソと反乱同盟軍の仲間たちが探すというものです。

このように表面だけなぞると、だいぶ「冒険」をかたどったプロットにも思えますが、それは本当に「かたどっている」だけで、実際は、根底に流れている「私的かつ暗い人間ドラマ」が本筋となります。

そうなってくると、「理解」はできても、「楽しめる」レベルにまで自分の「見方」を操れるかどうかは、やはり猛烈に人を選ぶのです

個人的には、つまらなかったわけではないんですが、ターキン総督の登場が最大の見せ場だったな、というのが前半の感想です。

だが、後半は面白い。

本当に面白い。

後半では、いよいよデス・スターの設計図を奪いにいくにあたって、バラバラの思惑を抱いていた仲間たちが真に結束し、ローグ・ワンが誕生します。

「私的なドラマ」の参加者だった彼らが同じ方を向き、支流が本流となり、そして「歴史」を変える

けれど、彼らは決して「英雄」として崇められ、記録されるわけではなく、「人間」として未来を守り抜く

熱すぎます!

戦いそのものについても、かねてよりコンセプトとして挙げられていた「戦争映画っぽさ」とオマージュをふんだんに用いた「『スター・ウォーズ』っぽさ」のバランスが完璧で、とてもワクワクさせられます。

サービスシーンの入れ方も極上です。

あえてラストは伏せますが、ジェダイではない人々の己を盾にする戦い、ぜひご鑑賞あれ。

 

2.キャラクターについての所見

ジン・アーソ&ゲイレン・アーソ

本作の主人公とその父親。

ジンは当初、自分の「過去」そのものに縛り付けられていましたが、キャシアンらと知り合い、ゲレラや父親と再会することによって、彼女の思いは銀河全体を憂うものへと変化していきます

その変化を見逃すと後半の行動原理が意味不明になるので、注意が必要です。

余談ですが、演じるフェリシティ・ジョーンズがわりとアニメ声なので、吹き替えの方が大人っぽいという現象が起きているのがちょっと面白いです。

ゲイレンは、マッツ・ミケルセンが演じているだけあって、本作の最重要人物でした。

また、さんざんファンの間で議論されてきた「テス・スターの弱点むき出し問題」に解答を与えてくれた存在として、今後も語り継がれることでしょう。

 

キャシアン・アンドー

反乱同盟軍の「闇」を象徴するキャラクター。

正義の反乱軍も、暗殺、スパイ、身代わりなど、色々な形で手を汚してきたという、「よく考えると当たり前なんだけども……」な実情を体現していきます。

 

ソウ・ゲレラ

アニメにも登場した歴戦の士。

反乱軍とは別の組織を率いる苛烈なゲリラですが、彼もキャシアンらに通じるところがあります。

キャシアンのダーティさも、ゲレラの愚直ともいえる過激さも、「生き方を選べない」現状が生み出したものであって、その錯綜がドラマになっているわけですね。

 

チアルート・イムウェ&ベイズ・マルバス

途中からジンたちと合流した、盲目の体術の達人と、その相棒である銃器の達人。

暗い前半にキレッキレのアクションと爽快感をもたらしてくれるので、貴重な二人組です。

シリーズ初となる、アジア系の重要キャラクターたちですが、チアルートは明らかに『座頭市』を参考にしたキャラなので、できれば日本人に演じて欲しかったです。

でもまあ、ドニー・イェンレベルの伝説なら彼でもいいか、とも思います。

ところで、既に本作を見た方は、彼らが初登場時に務めていた「ウィルズの守護者」とはなんぞや? と思われたのではないでしょうか。

「ウィルズ」は『スター・ウォーズ』で最もミステリアスな裏設定の一つで、歴史の保存や、フォースの深淵に関わっているとされています。

ルーカス色が強く、かつ、いつまでも明かされる気がしない謎だったので、ここにきて断片だけでも触れられたのは意外でした。

 

K2SO

キャシアンの相棒のドロイド。

思ったことをそのまま口に出してしまうのはC-3POと同じですが、内容が辛辣なのでまた違う笑いを誘います。

コメディリリーフかと思いきや、後半、まさかの大健闘。

 

オーソン・クレニック

本作初登場となる、帝国軍幹部。

ジンの母を殺した憎き張本人ですが、根っからの苦労人気質かつ色んな意味で精神的に常人なので、皇帝の子飼いの傑物であるターキンやヴェイダーの能力とは折り合わず、彼らにパワハラを受けまくり、同情を誘います。

 

グランド・モフ・ウィルハフ・ターキン

デス・スターといえばターキンなので出ないわけがないのですが、役者がとうの昔に亡くなっているので、どうやって出すのかが気がかりでした。

エピソード3『シスの復讐』では、顔が似ているとされる人物が演じていましたが、あれは遠景で数秒映るだけだから許されただけで、ちゃんとアップにしたらあまり似ていないことが分かってしまいます。

なので、今回がっつり映るならCGによる再現が妥当なのかなとは思ってはいましたが、まさか本当にやるとは

たまにカクカク動くのがCGぽいなと一瞬感じたりもしましたが、エピソード4を見直すと、この人、元からカクカク動くんですよね

実はこだわりの再現だったわけです。

今回のターキンも、持ち前の冷酷さを遺憾なく発揮し、ある意味ヴェイダー以上の存在感を放っています。

また、クレニックの手柄をうまく横取りする狡猾さも見せますが、そういうところも含めてパルパティーンはターキンを気に入っているのでしょうから、つくづくクレニックは報われません。

 

ダース・ヴェイダー

公開直前頃に「ひょっとしたら意外に出番が多いのでは」とささやかれていましたが、そんなこともなく。

ですが、インパクトは相当強いです。

エピソード5『帝国の逆襲』と並び、歴代シリーズ最高クラスの怖さ

日本でいうとゴジラとか貞子もそうですが、一度ポップカルチャーとして浸透してしまったヴィランの怖さをここまで取り戻せるのってすごいことです。

あと、登場時にプリクエル要素を拾ってくれたのも嬉しかったです。

Red Hot Chili Peppers『The Getaway』感想

僕は映画についてだけでなく、音楽についても雑食性です。

『たま』のことばっか書いていたので、「いきなりレッチリって飛びすぎじゃない!?」と思われるかもしれませんが、実は好きなんですよ。

案外、共通点も探せると思います。

要するに、

・個性が強いバンド

・ミクスチャー要素があるバンド

・パンク要素があるバンド

・メンバー全員のキャラが濃いバンド

が好きなんです。

今回は、ちょっと前に発売された最新アルバム『The Getaway』をちょっとだけレビューしようと思います。

 

f:id:penguinoutrage:20170127134704p:plain

続きを読む

マーベル・シネマティック・ユニバース(アベンジャーズ)総まとめ トニー・スターク考察

マーベル・シネマティック・ユニバース(以下MCU)とは、マーベル・スタジオ製作の映画が共有する一つの世界です。

アメリカンコミックは、出版社が同じであればほとんどの作品が繋がっているということは有名ですが、それを映画でもやってしまおうというのがこの一大企画です。

今回は、MCU「物語」という観点から掘り下げ、綿密に仕組まれたその構造を読み解いていこうと思います。

アベンジャーズ』考察

『アイアンマン3』考察

『エイジ・オブ・ウルトロン』考察

『シビル・ウォー』考察

も兼ねます。

 

1.未見の方のための超簡単基礎知識

 

f:id:penguinoutrage:20170106194608p:plain

©Avengers:Age of Ultron/Marvel Studios

 

アイアンマン=トニー・スターク

天才発明家・エンジニア。

大企業「スターク・インダストリーズ」のCEOだったが、ある事件をきっかけに軍需産業から撤退し、自らが開発したパワードスーツを着込んで悪と戦うようになった。

 

ハルク=ブルース・バナー

天才科学者。

実験の失敗により、ストレスを受けると別人格の怪物に変身するようになった。

 

ブラック・ウィドウ=ナターシャ・ロマノフ

KGBのレッドルームで鍛えられた凄腕のスパイ。

その後は国際機関「シールド」に務める。

 

ソー=ソー・オーディンソン

異次元(外宇宙)に存在する「アスガルド」の王子。

北欧神話で神として描かれた「雷神トール」本人。

 

ホークアイ=クリント・バートン

ロマノフと同じくシールドに務めるエージェント。

狙った的を絶対に外さない世界一の狙撃手。

 

キャプテン・アメリカ=スティーブ・ロジャーズ

元来の高潔な心と、実験により得た身体能力によって、第二次世界大戦の英雄となった伝説の男。

世界を守るためにその身を犠牲にし、氷漬けとなっていたが、若い姿のまま現代に蘇った。

 

アベンジャーズ

上記のメンバーが結集した、世界を守るヒーローチーム。

 

クイック・シルバー=ピエトロ・マキシモ

スカーレット・ウィッチ=ワンダ・マキシモ

人体実験により、それぞれ超スピードと超能力を得た双子の兄妹。

トニーが間接的に関わった戦争孤児で、はじめはアベンジャーズを憎んでいたが、後に協力する。

 

ロキ=ロキ・ラウフェイソン

ソーの義兄弟。

ソーにコンプレックスを持ち、「王」になることを目論む。

 

サノス

ロキにチタウリの軍勢と魔法の杖を貸し与え、地球を狙わせた大ボス。

MCU全体の黒幕。

 

※ここから先はMCU作品群のネタバレをほんの少し含みます。

 

2.「アイアンマン」からひも解くMCU

「光あれ」とかけているのかどうかは分かりませんが、MCUで最初に登場したヒーローは、胸に光を宿した「アイアンマン」(=トニー・スターク)です。

MCUという群像劇における最大の主役は今のところアイアンマンであり、これまでの大きな流れは基本的に彼が中心となっています。

なので、彼を知り、彼の目線で追うことによって、MCUを一つの線で結ぶことができます。

彼がデビューした『アイアンマン』は、底抜けに明るい作風の映画で、同年に公開された『ダークナイト』と好対照をなしていました。

しかし、そのような「結果」はアイアンマンの一つの側面にすぎません。

テロ問題や死の商人などのえげつないモチーフに触れるアイアンマンは、表面的な作風とは裏腹に、かなりシリアスなテーマを背負ったヒーローでもあります。

また、トニー・スタークは、アベンジャーズの中で最も人間臭さが押し出されたキャラクターです。

一見、お調子者の天才プレイボーイに思えるトニーの心の内には、常に闇があります。

彼の根本的な行動原理は「不安」

自分が製造した兵器が人を傷つけるかもしれないという不安。

友人や仲間の命が悪に脅かされるかもしれないという不安。

そして、「不安」とそれへの「対処(=武装)」とは、アメリカ合衆国全体に通じるミームとして言及されることが多い要素です。

MCUでのアイアンマンは、アメリカの現状の投影というポジションを担当しているといえます。

ある時点までのトニーは、自身の生命を保つために、ヒーロー活動をしていない時でも胸に「アーク・リアクター」を埋め込んだ状態で生活していました。

これこそがまさに「現状」です。

さらに、怪物に変身する体質を二度と癒せない「ハルク」(=ブルース・バナー)が同じ物語の中にいることによって、トニーの「現状」は「呪い」となります。

この「呪い」は『アイアンマン3』でとけますが、私小説なレベルにおいては、ここで彼のお話はいったん完結しています。

 

f:id:penguinoutrage:20170106193203p:plain

©Iron Man 3/Marvel Studios

 

しかし、時を前後して動き出した「さらに大きな物語」に既にトニーは巻き込まれており、そこからはなかなか抜け出すことができません。

ソーの物語です。

「ソー」(=ソー・オーディンソン)の登場は、宇宙文明の存在を示す決定的な大事件であり、彼が引っさげてきた「世界」にはロキが、チタウリが、そしてサノスが隠れています。

これら「外宇宙の脅威」への潜在的な不安が、『アベンジャーズ』で描かれた「チタウリ襲来(=ニューヨーク決戦)」によって現実となり、トニーは根深いトラウマを植え付けられることとなります。

つまり「呪い」がとけた後も、トニーのポジションはずっと同じで、相変わらず不安にさいなまれ続けているのです。

その不安が最悪の形で具現化したのが人工知能ウルトロンです。

 

f:id:penguinoutrage:20170105182253p:plain

 ©Avengers:Age of Ultron/Marvel Studios

 

ウルトロンは、不安が頂点に達したトニーの手により、世界を守るため(=アベンジャーズの仕事をなくすため)に生み出されたプログラムです。

けれど、その設計理念とは逆に、世界を滅ぼそうとします。

このプロットはあまりにも使い古されていますが、ウルトロン自体のキャラクターは実は結構複雑で、「不安がもたらした災厄」以上の役割を担っています。

ウルトロンは、人工知能にしてはかなり感情的で、極めて人間に近いロボットです。

トニーにエディプス・コンプレックスを抱くだけでなく、マキシモフ兄妹の境遇に同情しておきながら、人類を滅亡させようとするなど、人間的な「相反する立場」の錯綜を実践しています。

ですが、ウルトロンには人間との決定的な違いがあります。

「両立」を理解できないことです

彼には、「相反する立場」の双方を両立させようという葛藤がありません。

迷うことなく「ヴィランとしての使命」を選んで、そのために行動することができますし、選ばなかった「人間としての感情」をわざわざ捨て去ること(両立が不可能になったと認識すること)も彼にとっては意味がないのです。

だから、大虐殺を繰り返した後でも、当たり前のようにスカーレット・ウィッチ(=ワンダ・マキシモフ)を心配していました。

ウルトロンは、感情的かつ独善的な、トニー・スタークの極端なパロディであり、同時に、「ヒーロー」と「人生」の両立に苦しむアベンジャーズの面々、特にアイアンマンと「ブラック・ウィドウ」(=ナターシャ・ロマノフ)に対して、機械ならではの「答え」をチラつかせる「if」なのです。

ただ、ホークアイ」(=クリント・バートン)だけは、とっくの昔に両立を果たしており、理解ある家族と幸せを手に入れています。

このコントラストが、トニーをより孤独にしていきます。

さて、ここからがMCUの面白いところです。

ここまでトニーの「人間らしい心の弱さ」を挙げていきましたが、もしも『アイアンマン』が単独シリーズであったとしたら、「ヒーロー」とはまさにアイアンマンのことです。

その場合「もろい心を持つ一人の『人間』がハイテクを駆使して戦う姿」というのが、この世界の「ヒーロー」のリアリティになりスタンダードになるわけです。

ところが、MCUには常人の精神性を超越した「漫画に出てくるような心力を持つガチのスーパーヒーロー」が別に存在しています。

それがキャプテン・アメリカ」=スティーブ・ロジャースです。

 

f:id:penguinoutrage:20170105182321p:plain

 ©Avengers:Age of Ultron/Marvel Studios

 

自らを確実に犠牲にすることや、個人を信じることをためらわない彼は、よく言えば「高潔」悪く言えば「愚直」の象徴であり、トニーの影です。

自分の父親がスティーブにゾッコンだったことなどもあって、トニーは彼に対してコンプレックスをのぞかせていますが、二人の関係は、そういった対人関係の規格を超えたものでもあります。

「『アイアンマン』の世界」にキャプテン・アメリカみたいな人がいたら変だし、「『キャプテン・アメリカ』の世界」にアイアンマンみたいな人がいたら変。

それなのにお互いが同じ世界に存在しているという矛盾を体現してしまったのがMCUであり、彼らがしばしば対立するのは、言わば「物語VS物語」の争いでもあるのです。

両者の落としどころを見つけようとして結局見つけられなかったのが『キャプテン・アメリカ:シビル・ウォー』です。

袂を分かった彼らは、今後どのようにもう一度結束し、サノスに立ち向かうのか。

そして、新たに参加したドクター・ストレンジ(=スティーブン・ストレンジ)は、どう関わってくるのか。

それが今後のキーポイントとなってきます。

ドラマ『ルーク・ケイジ』シーズン1感想と見所

順番でいけば『デアデビル』シーズン2の感想を先に載せるべきなのですが、筆者が最近『ルーク・ケイジ』を見終わったばかりなので、感情的にタイムリーな記事が書けるかもと思い、こちらを先に書くことにしました。

ということで、今回は『デアデビル』『ジェシカ・ジョーンズ』と同じくマーベルとNetflixが組んだオリジナルドラマルーク・ケイジシーズン1の感想をお届けします。

 

f:id:penguinoutrage:20161121161613p:plain

©Luke Cage/Marvel Television/ABC Studios/Netflix

 

1.概要

ルーク・ケイジは同名のコミックスなどを原作としたドラマで、マーベル・シネマティック・ユニバース(以下MCU)に含まれます。

ルークはある実験をきっかけに怪力と無敵の皮膚を手に入れた元受刑者(冤罪)で、『パワーマン』などとも呼ばれているヒーローです。

また、彼はブラックパンサーらと並び、アメコミにおける「黒人ヒーロー」の第一世代かつ代表の一人であり、歴史的意義の強いキャラクターであると同時に人気が高いです。

わりと有名な話ですが、コミックオタクであるニコラス・ケイジの芸名はこのルーク・ケイジから取られているらしいです。

 

2.感想と見所の解説

デアデビル』『ジェシカ・ジョーンズ』の舞台だった「ヘルズ・キッチン」から場所を移し、今回は同じくニューヨークの街である「ハーレム」が舞台となります。

ハーレムは住民のほとんどが黒人(実際は、現在はここまでの偏りはないらしい)で、またその中から音楽・絵画・スポーツ・政治などにおける天才や偉人を数多く輩出してきた土地であり、「黒人の希望」の象徴となっている街です。

しかし、同時にヘルズ・キッチンに負けず劣らず治安の悪さで有名な危険地帯でもあり、至るところに組織犯罪の魔の手が伸びています。

ルーク・ケイジが戦う相手は、犯罪者個人というよりはそんな街の「状況」です。

ルークはハーレムの出身ではありませんが、恩人の身に起きたあるできごとをきっかけに立ち上がり、「街を救う」活動に乗り出します。

構造は『デアデビル』と似通っているわけですが、「街」の特性と作中での扱われ方がまるで異なるので、『ルーク・ケイジ』は全く新しい別種の物語となっています。

マジで熱く、そしてブルージーです。

ルーク・ケイジ』における「ハーレム」は、街全体の一体感が常に演出されています。

人種差別や貧困を起因とする「暗黒の歴史」や、そんなどん底から芸術に貢献するなどして勝ち取った「誇り」を皆が共有していて、それが空気にまで染み渡っているんですね。

「街が生きている」のは『デアデビル』でも同じですが、その点がもっと強固かつ切実にクローズアップされているといえます。

「ハーレム」という多様な顔を持つ一つの人格と、『アベンジャーズ』から続く「超人の存在が確認された世界」の時勢の二重構造を用いて、ルーク・ケイジという「流れ者」をどう感じ、どう扱うかが問われるのがこのドラマなのです。

しかもルークが基本的に顔出しということもあり、彼の行動と街の反応は「生活」の描写と密接しています。

「謎の超人」と「住民」によるライブ感のある「コール&レスポンス」が、どんどん変化し、やがて「ヒーロー」という認識へと繋がっていく……!

これは熱い……!!

街の一部であることはヴィランたちにもいえます。

本作では、暗黒街の一角コットンマウス、その従姉弟で政治家のマライア、武器の卸元ダイヤモンドバック、三者に関わっているシェイズと、メイン級のボスキャラが何人も登場します。

ルークへの個人的な恨みで動くダイヤモンドバック以外は、全員がハーレムに何らかの思いを抱いており、単なる悪役とはいえないドラマの参加者となっています。

デアデビル』でそういう役割を担っていたのは厳密にはウィルソン・フィスクだけで、彼の周りにいる者たちは違いました。

ウェスリーはヘルズ・キッチンではなくそれを愛するフィスクを愛していたし、リランドはただのビジネス上のパートナーで、ウラジーミルはフィスクの価値観から見れば、一時的に組んでいるだけの「街の敵」でした。

マダム・ガオとノブ・ヨシオカに至っては、完全にファンタジーからやってきた規格外のスーパーアジア人でありました。

ルーク・ケイジ』ではそのようなイビツな横の繋がりはあまりなく、やはりダイヤモンドバック以外のヴィランは、しっかりと街に帰属しているのです。

コットンマウスは「音楽」、マライアは「理想」を通して、ハーレムの文化や展望と結ばれており、シェイズも過去を匂わせています。

また、先述したような「街の悲惨な経緯と状況」が背景にあるので、彼らの悪事は必要悪とも呼べるかもしれない側面があり、そこが何ともいえないのです。

ルークが「だからといって犯罪に逃げていいわけじゃない」というようなことを言い切ってくれますが、それでも「憂い(ブルース)」がしみじみと残ります

個人的にコットンマウスの人生には泣きましたもん……。

ストーリーやキャラクター以外に目を向けると、音楽が秀逸なのも本作の特徴です。

ノリのいいブラックミュージックが、同じくMCUの『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』並みに最高のタイミングで使われており、最高の味付けとなっています

ルーク・ケイジ』がマーベル作品でもあり、ブラックスプロイテーションの系譜に当たる作品でもあることが、リメイク版『シャフト』(と含めていいなら『ジャンゴ』)くらいしかちゃんと見たことがない僕でも感覚的に理解でき、その魅力と意義を噛みしめることができました。

あと、日本人からすると話もBGMも「時代劇っぽいな」っていう変な楽しみ方もできたりします。

最後に、この作品のスゴいところは、街が主役でありながらきちんとルークも主役であるところです。

決して狂言回しには収まらないルーク・ケイジという男の生き方も、その目で確かめてください。

とにかく『ルーク・ケイジ』は最高です。

超オススメです。

画像引用元・権利者:Netflix/マーベル・スタジオ

(関連記事・その他の人気記事はこちら↓)

penguinlove.hatenablog.com

penguinlove.hatenablog.com

penguinlove.hatenablog.com