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富とジェリー

富を得たジェリーは変わってしまった。

悪役考察・第3弾『木村』(前世代の誇りと業を背負った哀しき獣)

悪役 考察 映画 邦画 アウトレイジ

木村

本名:不明

登場作品:『アウトレイジ』『アウトレイジ ビヨンド

大まかな概要:

弱小暴力団「村瀬組」若頭

部下の失態を詫びに大友組に出向くが、計略上はじめから許す気のない大友たちに散々な目にあわされ恨みに燃える

後に事の経緯を理解してからは大友と和解し、山王会への復讐に乗り出す

 

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※ここから先は映画『アウトレイジ』及び『アウトレイジ ビヨンド』のネタバレをほんの少し含みます。

 

木村もまた大友(ビートたけし)と同じく、本作にはめずらしい義理と人情で動くタイプの人間です。

もっともそれが顕著に分かるのは『アウトレイジ ビヨンド』からで、無印では「最後だけいいところを持っていくやられ役」でした。

さて、このシリーズのコンセプトは、時代劇の系譜にあたる「正義の任侠」の全否定であり、既に似たようなことを『仁義なき戦い』がやってはいるものの、人間が本来持つ「狡猾さ」「卑怯さ」「我が身かわいさ」「小ささ」を当たり前のものとして描いている点が最大の特徴です。

大友も木村もその例外にあたるわけですが、大友がどちらかといえば中間管理職の悲哀を象徴しているので、純粋にシリーズのテーマと対比される存在は木村だともいえそうです。

アウトレイジ ビヨンド』における木村は本当に義理堅く、熱い。

自身の、そして仲間たちの無念を晴らすため、命を張り、罵声に耐え、指まで食いちぎる。

まっすぐな人間が報われるわけがない北野映画、特に『アウトレイジ』の世界で、場違いなほど前世代の「ヤクザ」であり続けます。

その情熱が全て片岡(小日向文世)や花菱会の思惑に利用されているという事実がありながらも、木村をただのピエロではなく、男としてかっこいいとも思えるのは、ひとえに中野英雄の演技力によるものでしょう。

中野氏は北野監督自身に前々から出演を打診されていたようですが、木村はまさに彼のためにある役である気がします。

塩見三省加瀬亮など普段とは真逆の役柄に扮するキャストが多い中、ヤクザ役のプロフェッショナルである中野英雄が起用された木村は、ひょっとしたら既存の任侠作品全ての象徴であり、その哀しくも激しい顛末は、本作を含める北野映画がこれまでアンチテーゼとしてきた、古き良きヤクザのイメージへのねぎらいとはなむけだったのかもしれません。

ところで木村の言動で一つだけ気になるのは、花菱会との言い争いの最中に口にした「俺も兄貴も上の言った通り動いただけなんで」という発言。

いや、最初に大友組の末端構成員殺したのは完全にあなたの独断じゃないですか。

木村さんったら。

画像引用元・権利者:オフィス北野/ワーナーブラザース

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