富とジェリー

富を得たジェリーは変わってしまった。

Red Hot Chili Peppers『The Getaway』感想

僕は映画についてだけでなく、音楽についても雑食性です。

『たま』のことばっか書いていたので、「いきなりレッチリって飛びすぎじゃない!?」と思われるかもしれませんが、実は好きなんですよ。

案外、共通点も探せると思います。

要するに、

・個性が強いバンド

・ミクスチャー要素があるバンド

・パンク要素があるバンド

・メンバー全員のキャラが濃いバンド

が好きなんです。

今回は、ちょっと前に発売された最新アルバム『The Getaway』をちょっとだけレビューしようと思います。

 

f:id:penguinoutrage:20170127134704p:plain

 

1.予測された新境地

天才ジョン・フルシアンテが去り、新たにジョシュ・クリングホッファーが参加してから二枚目となる本作。

一言でまとめると、「めちゃくちゃ予想通りの作品」ではありました。

ある意味レッチリファンの常識ですが、このバンドはアルバムごとに色がコロコロ変わります。

その中でもギタリストの変更というのは大きな節目です。

前作『I'm With You』を経た上で、「ジョシュの色がさらに濃くなり、今までとは全然違うアルバムになるのでは?」と誰もが考えており、案の定その通りになったというわけです。

 

2.レッチリなのに大人しい

ジョシュの台頭により、このアルバムはレッチリ史上最も大人しくて、ちょっとアンビエントで、エレクトロニカっぽいものとなっています。

ジョシュ・クリングホッファーは、音楽に対してストイックなところ以外はジョン・フルシアンテとだいぶ異なるアーティストです。

ギタリストであることにこだわらないマルチプレイヤーだし、音作りも電子的な感じで、Radioheadジョニー・グリーンウッドに近いイメージがあります。

そんな彼の周りを、トム・ヨークと一緒に活動したりもしたフリーや、前々からプログレに興味ある的なことを言ってたチャドが固め、さらにプロデューサーをRadioheadで有名なナイジェル・ゴッドリッチが務めるときてるんだから、まあ、こうなりますよね。

メンバーが歳をとって落ち着いてきたからってのも、タイミング的にちょうどよかったんでしょう。

 

3.人は選ぶが美しい

では、そんな「大人しさ」が受け入れられないものかというと、決してそんなことはありません。

やはりレッチリは技巧派ぞろい。

ハデじゃなくなっても、楽曲は完成度が高いです。

ポップメーカーであるジョンが抜けた代わりに、再びフリーが前に出て、超絶テクとクセのあるラインでグイグイ引っ張る。

その「レッチリらしさ」に、いい意味で聞きなれないジョシュのパリっとしたギターが被さり、アンソニーの太い声がすべてを包み込む。

バランスとしては完璧だと思います。

ただ、チャドのドラムはミックスでイジりすぎかな。

彼のドラムって、パワフルだからこそ、逆に静かな曲に味わいをもたらしていると感じるんです。

全体をエレクトロニカっぽくまとめつつも、フリーの大暴れが時折その枠を越えるのがこのアルバムの唯一無二な点ですが、チャドに関してもそうさせた方が、曲の個性につながったんじゃないかと思います。

でもまあ、ドラムだと事情が違うのかもしれませんね。

また、アンソニーの詩ってもともと哲学的なので、このアルバムの風合いにとてもマッチしています。

そこも新たな魅力ですね。

歴代アルバムで1、2を争うほど、確実に人を選ぶアルバムではありますが、長所もいっぱいありました。

 

4.好きな曲

『The Getaway』

表題曲。

これまで必ずインパクト大のキラーチューンだった一曲目としては異例の、かなり静かな曲。

しかし、最初にこういう曲を持ってくることによって、アルバム全体のトーンが提示され、全体の構成が尻すぼみじゃなくなっている。

 

『Dark Necessities』

今作の客観的ベスト。

前作から投入されたピアノとパーカッションのサポートが、ジョシュのプレイスタイルを補うための音増やしとしてではなく、本当に必要なものとして機能している。

バンドとしてそれがいいことなのかどうかは知らないけど、今だからこそできた曲なのは間違いない。

歌詞に込められた、自分の中の「闇」を消し去るのではなく、己の一部として受け入れ、活かすという思想はジョンから聞いたものらしい。

 

『Goodbye Angels』

今作の主観的ベスト。

正直、Aメロの変拍子は他にアレンジのアイデアを思いつかなかったからなんじゃないかと一瞬疑ったが、どんどん引き込まれ、その後超かっこいいサビに興奮させられた。

サビをもうちょっと何度も聞きたかったが、それをやるとポップスになっちゃうということなのかもしれない。

難しいね。

 

『Go Robot』

『The getaway』でも見られた、大人しいけど「品よく盛り上がる感じ」が耳に心地いい。

LIVEだとけっこう激しくなる。

 

『Dreams of a Samurai』

以前のアルバムでもあった、ラストを飾る大作系。

アルバム全体のテーマである「喪失」を総括している。

ここで扱われる「サムライ」はどっちかというと「浪人」や「出家僧」的な状態を指している気がする。

 

5.最後に

アンソニーお願いだからヒゲそって。