ルーク・スカイウォーカーを見つめ直す 前編
先日、ついに『スター・ウォーズ』エピソードⅧのサブタイトルが『THE LAST JEDI』(邦題未定)であることが発表されました。
同時に、お馴染みの黄色いロゴが赤く染まっているイメージが公開され、シリーズ史上初となるこのアレンジに、極めてショッキングな展開が待ち受けていることを予感させられました。
しかし『AGE OF JEDI』(『ジェダイの時代』)とかじゃなくてよかったですね……なんて冗談はさておき。
今回は、前作エピソードⅦ『フォースの覚醒』のラストシーンにて満を持して再登場した、オリジナル三部作の主人公ルーク・スカイウォーカーについてちょっとだけ振り返ってみようと思います。
アナキンよりは真っ当でプレーンな主役キャラという印象が強いルークですが、きちんと整理するとわりとミステリアスなんです。
©Star Wars/Lucasfilm Ltd.
※ここから先は『スター・ウォーズ』シリーズのネタバレをほんの少し含みます。
1.ルーク・スカイウォーカーとは何者なのか?
オリジナル三部作を基準とした場合、ルーク・スカイウォーカーとは「主人公」であると簡単に言い切ることができます。
しかし、プリクエル三部作とオリジナル三部作を合わせた六部作を基準とした場合、彼の立ち位置は実はかなり特殊です。
ルーカスが何度も明言している通り、今のところ『スター・ウォーズ』サーガ全体の主役といえるのはアナキン・スカイウォーカーです。
ストーリーも、それを踏まえて鑑賞することで自然に収まるものとなっています。
そう考えると、ルークは「二代目主人公」でありつつも、「アナキン・スカイウォーカーとは何者なのか」「アナキン・スカイウォーカーの人生とは何だったのか」という物語における登場人物の一人に留まってきたともいえるのです。
では、「ルーク・スカイウォーカーとは何者なのか」?
彼のパーソナリティやアイデンティティが、アナキンと同レベルの比重で全て描かれ、全て定義されたわけではないのだとしたら、それが掘り下げられるのはきっとこれからです。
新たな三部作の主役はあくまでレイですが、ルークも単なる師匠ポジションではなく、極めて中心的な役割を担うことになるでしょう。
2.アナキンとルークの違い
アナキンとルークは似たもの親子ですが、相違点も多くあります。
ダークサイドに堕ちたか否かの違いについては他の機会に述べるとして、今回は、別の方向から迫ろうと思います。
彼ら二人は、キャラクター造形の出発点が根底から違います。
アナキンは端的に言えば「神話の登場人物」です。
処女受胎によって命を授かるというキリストを意識した出生然り、ダース・ヴェイダーと化す悲劇を約束された演出然り、はじめから視聴者と地続きのドラマから少し浮いた場所にいます。
対してルークは「ジョージ・ルーカス自身の投影」です。
「父」(ヴェイダー、オーウェン)との確執や、辺境で人生を終えることへの不安とその打破は、ルーカスの生まれ変わりとしての性格です。
それによってルークはアナキンよりもずっと我々に近く、親しみやすい「人間」となっています。
『スター・ウォーズ』自体の特性上、アナキンも投影的要素を持ち、ルークも神話的要素を持っていますが、それでも二人のスカイウォーカーはアプローチの起点が全然違うのです。
ルークがアナキン並みに神話的立ち位置を確立するのは、オリジナル三部作完結編・エピソードⅥ『ジェダイの帰還』からです。
その続きである新たな三部作では、今や「伝説のジェダイ、ルーク・スカイウォーカー」として認識されることとなった彼の、かなり新鮮な一面が見られるのではないでしょうか。
(後編はこちら↓)