全員、暴走。『アウトレイジ 最終章』徹底予想・考察
うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!
ついにきましたね!!
アウトレイジシリーズ最新作にして完結編『アウトレイジ 最終章』(『アウトレイジ コーダ』)のキャスト発表と特報!!
3作目の噂は何年も前からチラホラありましたが、ようやくそれが現実になって大興奮しております!
さっそく、今の時点で分かっている情報を分析していこうと思います!
©『アウトレイジ 最終章』製作委員会/オフィス北野
※ここから先は、映画『アウトレイジ』及び『アウトレイジ ビヨンド』のネタバレを含みます。
※役者として取り上げる際に「さん」づけすると逆に失礼かつ違和感があるのではないか、という考えから基本的に敬称略で記述しています。
1.これまでのアウトレイジとは何かが違う
私見ではありますが、『アウトレイジ 最終章』は、これまでのアウトレイジシリーズとは少し趣が異なる気がします。
その理由を以下に並べます。
2.ついに参戦した北野組常連
今回発表された新キャストは、
の6名。
なんと過去に北野映画に出演したことがある役者が三人もいます(前作ではメインではなかった白竜を含めれば四人)!
※追記:さらに津田寛治の参戦が発表されました。
これまで中尾彬以外、メインキャストを初参戦の役者で固めてきた本シリーズにおいて、これは異例の事態です。
特に「北野組」の代表である大杉漣の投入については、「くるかな? きてほしいな。でもこないよなあ……」と思っていたので、発表された時は一瞬ガセかと疑ったくらいビックリしました。
また、西田敏行、塩見三省、小日向文世、加瀬亮など、普段あまり悪役のイメージがない役者をキャスティングするのもシリーズの大きな特徴なので、今回、原田泰造以外は、わりと「普通に似合いそうな人たち」が選出されたのも意外です。
これらのことから、『アウトレイジ 最終章』は、これまでとは企画上のコンセプトが部分的に違うといえると思います。
3.大友、ついに死す?
『アウトレイジ』も『アウトレイジ ビヨンド』も、単体作品とした見た場合は、大友(ビートたけし)が死んだ方が収まりがいいです。
特に『アウトレイジ』のラストで大友が刺されるシーンは、まさに北野映画的な様式美であり、その後、『ビヨンド』で彼の生存が判明するという「どんでん返し」は、北野映画初の「続編」だからこそ起こった、例外中の例外です。
しかし『アウトレイジ 最終章』は、読んで字の如くアウトレイジの最終章です。
大友が生き残らなければならない理由は、メタな意味ではもう存在しないのです。
また、北野作品で見受けられる「あんまり死ぬの怖がってるとな、死にたくなっちゃうんだよ」病に、めずらしく陥っていなかった大友ですが、そろそろ発症する予感がします。
特報映像でもいつもよりさらに過激で、捨て身な印象を受けますし。
大友、ついに散るんでしょうか……。
(大友の紹介・考察はこちら↓)
4.石原と片岡の不在がもたらすもの
色んな記事で言及していますが、アウトレイジシリーズはヤクザの世界を舞台にしているだけで、任侠映画ではありません。
むしろそのアンチテーゼ的な位置づけの作品で、「人間」の保身や裏切り、我が身可愛さを前提として描く、「組織の映画」です。
ではその「アウトレイジらしさ」を代表するキャラクターは誰なのかというと、これまでは石原(加瀬亮)と片岡(小日向文世)だったと思います。
(石原の紹介・考察はこちら↓)
モダンな経済戦略で暴力団の枠を超えたビジネスを展開した石原と、刑事の立場を利用し、易々と暴力団を利用しつくした片岡は、共に旧来のフィクションにおける「ヤクザ」の典型を破壊する存在であり、彼らがいることによって、アウトレイジってどういうお話なのかがより分かりやすくなっていました。
ところが、この二人は両者ともに二作目の終盤で死亡しています。
「金」と「警察」には「ヤクザ」もかなわないという世界観は、もう終わったのです。
今後、彼らに近い立ち位置のキャラクターが補充されるのは間違いありませんが、それでも絶対的な象徴としては機能し得ません。
となると、物語が「ヤクザ」を否定し、達観するためには、また別の要素が台頭してくる可能性が高いです。
恐らく『アウトレイジ 最終章』は、より「生命そのもの」「死そのもの」を俯瞰した側面を持つ内容になり、『ソナチネ』のような初期作の空気にある程度還るのではないでしょうか。
また、あらすじとメイキングに目を通すと、花菱会の花田(ピエール瀧)が、どうやら風俗関係でトラブルを起こし、それが発端となって抗争に繋がるらしいというのも気になります。
これまでのストーリーが、利権、保身、もしくは復讐によって動かされてきたというのに、ここにきて直情的な感情が大きな展開を左右するというのは、これまでの空気からちょっとかけ離れている気がします。
やはり、『最終章』からは未知の匂いが漂ってきます。
5.「最強」・花菱会の死角
『アウトレイジ ビヨンド』における花菱会の面々は、はっきり言ってシステムです。
人間ではありません。
布施(神山繁)がマキャヴェリズム、西野(西田敏行)がコネクション、中田(塩見三省)が理不尽、城(高橋克実)が死を担当し、完璧な役割分担で、「時代」に後押しされていたはずの加藤(三浦友和)を追い詰めました。
(西野の紹介・考察はこちら↓)
アウトレイジの登場人物は、「堅実だから勝つ者」「調子に乗ったから負ける者」「調子に乗っていないのに負ける者」の三種類に区別できます。
花菱会は「勝つ者」の典型で、策略を練るシーンこそあれど、本性や欲は一度も見せていません。
言うなれば、キャラクター自身が「演技」をしていたのです。
こんなヤバい人たちに加藤が勝てるわけがありません。
しかし、このポジションは変動します。
一作目『アウトレイジ』で、調子に乗った関内(北村総一朗)に耐えた加藤、水野(椎名桔平)に耐えた石原、大友に耐えた片岡は、「堅実だから勝つ者」の座を手に入れましたが、それは不動のものではありませんでした。
二作目『アウトレイジ ビヨンド』では、今度は彼らが、「調子に乗ったから負ける者」の側に身を落としました。
花菱会の西野と中田についても、三作目『アウトレイジ 最終章』で、ついに腹を見せ、そして一時的にしろ最終的にしろ、何らかの形で負けることが予想されます。
「人間」となった彼らからどんな台詞が飛び出すのか、個人的には一番楽しみです。
僕が特に注目しているのは中田。
『ビヨンド』を見る限り、この男、恫喝を演じている時と、素で落ち着ている時の差が、最も甚だしいです。
特報でも気さくな一面を見せていますし、木村(中野英雄)にもこうやって近づいたんでしょうか。
非常に興味があります。
ただ、あらすじを見る限り、どうも西野と中田は、物語の開始時点で既に覇権争いに負けかけているっぽいです。
新会長・野村(大杉漣)は一体どこから湧いて出てきたんでしょうか。
構図としては、花菱会新会長・野村と幹部・森島(岸部一徳)が、前作の加藤・石原のように実利主義を掲げ、花菱会旧布施派を牽引する西野・中田がそこに反旗を翻す感じでしょうかね。
だとすると、西野・中田と大友のまさかの協力体制というのもありえそうです。
いやー、ワクワクしますね!
6.大ざっぱな内容の予想
特報公開時点で確認できる情報を加味した直観的な予想としては、
花田に殺された韓国マフィアの復讐に大友が動く
→西野・中田がそれを利用し、野村を会長から降ろそうとする
→山王会もその状況を利用しようと企みだす
→なんだかんだでどの勢力も共倒れ
→誰かが一人勝ちする(たぶん岸部一徳演じる森島)
→1作目のように、「時代を分かっている奴が勝つ」というエンド
→と見せかけて、大友が一人勝ちした男を殺す
→直後に大友も殺される
完
どっちかというとこの予想は外れて欲しいです。
あー、とにかく楽しみ!!
「三作全て名作と言えるトリロジー」の誕生を目撃するのは、今年かもしれません!
追記:本予告などの公開を受けて、もう少し詳しい予想が可能になりましたが、これ以上掘り下げるのは野暮な気がするのでやめておきます。