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結婚っていいよね『ゴーン・ガール』感想

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概要

監督 デヴィッド・フィンチャー

原作 ギリアン・フリン

キャスト

ベン・アフレック ロザムンド・パイク ニール・パトリック・ハリス

タイラー・ペリー キャリー・クーン キム・ディケンズ

 

あらすじ

結婚記念日の朝、ニック・ダン(ベン・アフレック)は、妻のエイミー(ロザムンド・パイク)が失踪したことを知る

マスコミや警察に容疑を向けられ、渦中の人となったニックは潔白を主張するが、まるで誰かに仕組まれたかのように、彼に不利な材料がそろっていく

 

※ここから先は重要なネタバレを含みます

 

感想

これ、予告が上手いですよ。

劇場で流れているのをなんとなく見た時は、こういう話だとは思いませんでした。

報道倫理や冤罪がテーマの一部なのはわかりましたが、もっとこう、等身大の「妻を失った男の苦悩」「濡れ衣を着せられた男の苦悩」を軸とした、地に足ついた話だと思いました。

それどころか、ひょっとしたらノンフィクションなのかもと思いました。

全然違いました。

しかしてその実態は、クズ夫と逝っちゃってる妻のクッソはた迷惑な喧嘩騒動ミステリー。

本編を観た後に予告を見ると、皮肉というか、ブラックユーモアにしか見えません。

この仕掛けはなかなか面白いです。

逆に、ミステリーの中身の方の仕掛けはわりと出オチだと感じました。

推理小説をまったく読まない僕でさえ、本編の方向性を理解したら、「妻が復讐のために夫をハメようとしている」という小オチと「妻が夫に惚れ直す」という大オチはすぐにわかりました。

だってそれしかないんだもん。

それでも全然楽しめたのは、本作が社会派エンターテイメントとして優れているからだと思います。

マスコミと司法の危険さ・脆弱さと、それらを利用して完全犯罪を成す知性の存在が、「女性が男性を冤罪に陥れるのは容易い場合がある」という怖すぎる事実を織り交ぜて描かれるのがゾクゾクします。

「ヒエーッ!」ってなります。

エイミーがサイコパスではなく、いわゆる「毒親」によって作られた後天的なソシオパスなので、完全にファンタジーな存在ではないというのもいいですね。

ニックとエイミーの病みきった関係と、我々が住む現実社会の夫婦生活における妥協・すれ違い・非理解との垣根は思ったよりも低いということを思い知らされます。

また、ニックが本当にダメ人間なので、彼が理不尽な目にあっていてもある程度は許容できるというのも楽しめる一因だと思います。

ベン・アフレックの「ボサッ」とした顔、ハマり役すぎです。

動機付けや展開がところどころ極端だったり強引だったりして、漫画的ではありますが、筋は通っているので、芸術作品ではないと割り切れば、完成度は非常に高いと感じます。

ところでヤンデレっていいですよねえ。

 

評価:☆☆☆☆(5点満点)