富とジェリー

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悪役考察『ペンギン』(僕がペンギンを愛してやまない理由)前編

ペンギン

本名:オズワルド・チェスターフィールド・コブルポット

登場作品:『バットマン』及びその関連作品

大まかな概要:

ゴッサム・シティの暗黒街に君臨するマフィアのボス

禿げかかった頭、低い背丈、太鼓腹、そして何よりほぼ人間離れして大きな鼻を持つ醜男

黒ずくめのタキシードとシルクハット、単眼メガネ、葉巻、銃が仕込まれた傘がトレードマーク

 

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©『バットマン:喪われた絆』/DC Comics/小学館集英社プロダクション

 

バットマン』の悪役は魅力的なキャラクターの宝庫ですが、中でも一番の人気を誇るのは、間違いなくバットマン最強最大の宿敵・ジョーカーでしょう。

ペンギンは彼に次ぐ二番目に重要なヴィランだといっても過言ではない男なのですが、コミックに触れる層以外では、その知名度やファンの数は大きく水をあけられている印象です。

ジョーカーが強烈すぎるというのもありますが)その理由は主に二つある気がします。

 一つは、近年話題になった『ダークナイト』三部作にペンギンは登場していないということ。

 もう一つは、他のヴィランたちと比べて狂気のアイコンが分かりにくいことだと思います。

 例えばジョーカーなら「笑い」「混沌」、トゥーフェイスなら「運」、リドラーなら「謎」、スケアクロウなら「恐怖」というように、『バットマン』の代表的なヴィランたちは、それぞれの行動原理となるトラウマや強迫観念を、「固執する何か」として簡潔に言い換えることが可能です。

その点ペンギンは、ティム・バートンが『バットマン リターンズ』で造形した「哀しき怪物」というイメージと、原作の紹介でよく用いられる「映画版はまったくの別物」「バットマンの悪役にしてはそこまで狂っていない」という説明が混在し、結局、どういう狂気を持ったヴィランなのかがあまり言及されません。

前編では、それについて紹介してみようと思います。

さて、そもそもペンギンは狂気を一切持たないと断言されることが多いです。

これについては、正解でもあり、間違いでもあると考えています。

要するに表現の違いです。

たぶん、彼が狂っていないといわれるのは、「因果関係や利害関係を正常に判断できない」とか「俗な願望に興味がない」とかそういうことはないよという話であって、強すぎる執着を「狂気」と表現する場合、彼も間違いなく狂っています

 彼の狂気を一言で表現するならば、「尊敬」「人望」「承認」「所有」「愛」もしくは「人の目」のどれかでしょうか。

 幼少期から醜い容貌をいじめ抜かれてきたオズワルドは、まともに人間関係を築くことができず、また、経験による疑心暗鬼から他人を信頼していません。

 そんな彼が人と交流するための手段が、自分が笑われない・蔑まれないと確信できる権力者、すなわち悪徳と狂気にまみれた自分の街(ちなみにペンギンの先祖は街の創設者の一人)・ゴッサムの王になることだったわけです。

 バットマンの正体を心理分析で見破ったヒューゴ・ストレンジは、ペンギンをナポレオン・コンプレックスだと診断しています。

 ジョーカーのような理解不能な快楽犯罪者ではなく、より等身大の、我々の延長線上にある狂気を抱き、それを実行に移し、なお愛されない

 それがペンギンの魅力なんです!

 で、序盤でああはいったものの、ペンギンの人気、ここにきてうなぎのぼりです

 現在シーズン2が放送中のバットマン前日譚『ゴッサムにおいて、若き日のペンギンが、真の主役とばかりに大活躍しているんです!

 

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©Gotham/Primrose Hill Productions/DC Entertainment/Warner Bros. Television

 

ザコン、いじめられっ子気質、臆病、状況ですぐ手のひらを反す、かつ頭が切れ、野心のとりこ……!

 素晴らしい!

 「怪物・鳥人間」でも「完全な常人」でもないペンギンが、ようやく映像媒体で日の目を見るわけです(醜くない代わりにコンプレックスの象徴が脚の障害になっているなど変更もありますが)!

 シーズン1の段階では一部の海外サイトですら「コブルポットは後のジョーカーか?」などとささやかれていたことから、いかにペンギンの持つ狂気とも呼べる部分がこれまで知られていなかったのかが分かります。

 しかし、今は彼の本来のキャラクターに全米がぞっこん。

 もしもドラマ内人気投票が行われたとしたら、確実にトップを飾ることでしょう。

 さて、前編ではペンギンの狂気について触れました。

 後編ではそうでない部分の魅力について語ろうと思います。

 

(後編はこちら↓)

penguinlove.hatenablog.com